JHTI について

The Japanese Historical Text Initiative (JHTI) は、過去 1200年以上にわたる日本の歴史的文献を収めたデータベースです。当サイトでは日本語原文に対応した英文訳を同画面上に同時に表示することができます。

現時点では以下のようなテキストが収録されています。

古代の年代記   これらは天皇の勅命を受け、朝廷の役人により編纂されたものです。最古の三つの年代記が JHTI に掲載されています。 (1) 『古事記』(712年)には Donald L. Philippi 訳、(2) 『日本書記』(720年)には W. G. Aston 訳、(3) 『続日本紀』(697年-791年)には J. B. Snellen 訳、そして、(4)『古語拾遺』(807年)には Genchi Katō と Hikoshirō Hoshino 訳を、それぞれ対応させています。

古代の地誌 これらは朝廷の命令を受け、8世紀前半に地方 の役人によって献上されたものです。完全に現存するものはありませんが、当サイトでは最も完全に近い形で現存する『出雲風土記』(733年)を、そして一部欠損して現存する他の『風土記』も Michiko Aoki 訳と対応させ、掲載しています。

古代の宗法・民法 大化の改新に 始まる一連の政治改革が終わる 927年に、包括的な宗教・民法を編纂した『延喜式』が朝廷に献上されました。第1巻から第10巻までは宗教(神)に関する法律です。他の文献は民法に関するものです。当サイトには、神祇官に関わる最初の10巻が Felicia Gressitt Bock 訳とともに掲載されています。

中世の物語 大化 の改新をはじめとする一連の政治改革の終了後から封建時代初期には、貴族や武士の指導者の一族に関する貴重な歴史文献がまとめられています。その中で、次の五つの文献-(1) 『大鏡』(866年-1027年)と Helen Craig McCullough による英訳、 (2) 『大和物語』(951年頃完成)と Mildred Tahara による英訳、(3) 『栄華物語』(794年- 1185年)と William H. & Helen Craig McCullough による英訳、 (4) 『太平記』(1371 年)と Helen Craig McCullough による英訳、そして(5) 『吾妻鏡』(1300年頃完成) と Minoru Shinoda による部分訳-が当サイトには掲載されています。この種の他のテキストも今後、収録していく予定です。

中世と初期近代の解釈的な歴史書 1219年から1712年の間に、宗教的、政治的な関心から三つの解釈的歴史書が書かれました。それら三つの文献の原本と英訳が当サイトに掲載されています。   (1) 『愚管抄』(1219年)は Delmer M. Brown と Ichiro Ishida 訳と、(2) 『神皇正統記』(1339年)は H. Paul Varley 訳と、そして(3) 『読史余論』(712年)は Joyce Ackroyd 訳と対応しています。

近代国家における宗教と国体 1868年の明治維新以後、増大する西欧の圧力に対応するために、日本では宗教をはじめ公的な面における改革が実施されました。第二次世界大戦後、政府は 1868年から1945年までに出された宗教に関する重要な法律を収集し、出版しました。これが 『明治以降神社関係法令資料』 といわれるものです。当サイトでは日本語原文のみ収録しています。また1937年には、政府は国家神道に関する公的見解を出版し、『国体の本義』 として配布しています。これについては John Owen Gauntlett 訳とともに当サイトに掲載されています。今後、会沢正志斎著、『新論』 を B. T. Wakabayashi による英訳と、そして頼山陽著、『日本外史』 を英語やフランス語による部分訳と掲載していく予定です。それ以外に、宗教に関する憲法の論評や論争の的となった久米邦武の論文、「神道は祭天の古俗」(1892年)、井上哲次郎著、『勅語衍義』(1891年)や 『教育と宗教の衝突』(1893年)等、宗教と国家、宗教と教育等をめぐる現代の論争を当サイトに掲載していきたいと考えております。

新しいプロジェクト   日本史に関する日本語文献の翻訳を提供していくという JHTI の本来の目的に加え、今後、「青空文庫」をはじめインターネットで公開されている日本史関係の日本語テキストも提供していきたいと思っております。また、そのテキストの英訳が JSTOR 等、インターネット上にある場合にはそのリンクを当サイトに掲載していきたいと思っております。その際、リンクされたテキストの歴史的文脈や意義に関する注解も掲載したいと思っております。

JHTIは、幅広い歴史的なテキストを必要とする日本研究者のニーズに応えることを目標としております。そのために、今後、さらに当サイトに掲載するテキストを見つけていきたいと考えております。

またJHTI のホームページは、日本語文献研究に役立つさまざまなオンラインリソースにもリンクしています。